2014年02月14日

つながりが人を支える

被災地NGO恊働センターです。

2013年の年末に当センターが事務局を担っているKOBE足湯隊の学生さんと共に能登半島を尋ねました。7年目を迎えた被災地、能登をレポートしていきたいと思います。
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「つながりが人を支える」

 能登半島にある小さな町・穴水町。人口はおよそ9,000人の小さな町である。高齢化率は41%と非常に高く、日本の地方都市が同じように抱えている過疎化の問題に悩まされている町だ。能登半島地震によって全壊家屋79棟、半壊家屋100棟、一部損壊家屋2,318棟という大きな被害を受けた。
ホットちゃん1(能登レポート6).jpg
▲当時のホットちゃんの外観

 穴水町では地震後、商店街を活気づけるため「ホットちゃん」という定食屋がオープンした。仮設住宅に住んでいた女性3名が、過疎化や地震で打撃を受けた商店街を活性化したい、との想いから開かれたお店だ。「ホットちゃん」という名前は仮設の人たちがタオルで作っている子供服を型どったものについた名前で、「”まけないぞう”も新潟の山古志から頂き、神戸の人に教わったんだけど、ちょっと難しいからベビー服にした」ということだそうだ。現在は健康上の理由で店を閉められたが、穴水の町に活気をもたらした。
ホットちゃん3(能登レポート6).jpg
▲ホットちゃんのメニュー。横にかかっている小さな服も「ホットちゃん」

 そのホットちゃんを開いていた女性が、東日本大震災の被災地である七ヶ浜町へ支援に行かれたそうだ。その時にホットちゃんの話をされたそうだが、熱心に聞いていたのが七ヶ浜町の仮設商店街でラーメン店を開いた方。その方は、「ホットちゃんの話を聞いて自分でも店を出せるんじゃないかと思った」とおっしゃっていたそうだ。被災地から被災地へ想いがつながった瞬間だと思う。
ホットちゃん2(能登レポート6).jpg
▲名物のもずくうどん。高校生とのコラボで地域を活性化した。

 穴水町の方々は、地震後時間が経つにつれて、被災者とボランティアという関係からあなたとわたしという関係になってきたとおっしゃっていた。被災地から被災地へのつながり、ボランティアとのつながり、様々なつながりが被災地の人々を支えている。能登で出会ったほとんどの方がおっしゃった、「ただ訪れてくれるだけでいい」という言葉にそれが集約されているのだろう。(頼政良太)
posted by 能登 at 14:39| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

2014年02月07日

能登の復興住宅

被災地NGO恊働センターです。

2013年の年末に当センターが事務局を担っているKOBE足湯隊の学生さんと共に能登半島を尋ねました。7年目を迎えた被災地、能登をレポートしていきたいと思います。
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「能登の復興住宅」

 能登半島地震からもうすぐ7年。仮設住宅が建設されていた跡地は、その形跡をほとんど残していない。初めて能登半島を訪れる大学生も一緒だが、この辺りに仮設住宅があって…、という説明をしてもなかなかすぐにはピンとこないようだ。

 少しだけ時間があったので、輪島市内の復興住宅を見に行った。輪島市内の復興住宅は3か所に建設され、いずれも戸建てタイプだ。2戸で一つの家になっているタイプだが、建設当時から色々な課題も指摘されていた。建屋の問題で言えば、入居当初から扉がうまく開かない、網戸がついていない、など設備の問題が住民から聞かれた。立地の問題も言われており、高台に建設されたためバスを使わなければ買い物が出来ない、周りに知り合いがいないため引きこもりがちになる、復興住宅はトビラが頑丈になって気軽に隣に声をかけて集まったりすることが出来なくなった…などである。こうした問題は今はどうなっているのだろうか。
復興住宅(能登レポート5).jpg
▲輪島市の復興住宅

 その答えは、いまも同じ課題が残っているということである。その日の夜には足湯ボランティア活動をする上で非常にお世話になった元区長さんと住民の方と一緒に食事をさせていただいた。「仮設の頃は良かった、仮設の頃は楽しかった」と2人は口々に言う。ボランティアも来なくなり、隣の人との付き合いもやはり少なくなった。各復興住宅には集会所もないので集まる場所もない。中には復興住宅に移ってから亡くなられた方もおり、だんだんと知り合いが減っていくことがさみしいとおっしゃっていた。
 また、穴水町の復興住宅は集合住宅タイプのマンションだが、集会所が無く1階のロビーで集まるしかない。復興住宅に移って2年経ってから、ようやく落ち着いたという声も聞かれたそうだ。

 能登半島地震がきっかけでこうした問題が顕在化しているだけで、日本の地方都市が同じように抱える問題だと思う。東日本大震災の被災地も今後は同じような問題が噴出して来るだろう。7年が経ち、忘れ去られつつある能登の被災地だが、しっかりと目を向けていくことが大切だと改めて実感した。(頼政良太)
posted by 能登 at 16:19| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

2014年01月30日

3日間の派遣を終えて

被災地NGO恊働センターです。
2013年の年末に当センターが事務局を担っているKOBE足湯隊の学生さんと共に能登半島を訪ねました。7年目を迎えた被災地、能登をレポートしていきたいと思います。今回も一緒に能登半島を訪ねた学生さんの感想を紹介します。

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3日間の派遣を終えて
大坪恭子さん(神戸大学3回生)
3年になる私ですが今まで能登で足湯をしたことはありませんでした。過去の話を先輩から話に聞くことはあっても、最近は中々関われていなかったため現在能登がどのようになっているのかもわからず、今後の関わり方について考えあぐねていました。そこで今回の派遣を組んだわけですが、色々得たことは大きかったです。
夜の千枚田にて(能登レポート4).jpg
夜の千枚田にて記念撮影

鹿磯での足湯(能登レポート4).jpg
鹿磯での足湯

江尻屋(能登レポート4).jpg
宿泊した江尻屋

 印象的だったのは、現在輪島市の復興住宅に住んでいる人のお話でした。足湯隊が仮設時代にお世話になった2人にお話しを伺ったのですが、2人とも仮設時代の方が楽しかったとおっしゃっていました。今まで、仮設の不自由さについて聞くことはあっても、仮設が楽しいという声は聞いたことがなかったので驚きました。仮設に集まったのは地域がバラバラの住民だったにも関わらず、お互い声をかけあったり、集会所に集まったりして、本当に楽しかったし、それが懐かしいということでした。逆に、復興住宅に入ってからは、集会所もなく集まるきっかけがなかったり、新しい住民が入ってきてもあいさつがなかったりと、つきあいがめっきり減ったことのことです。そこの復興住宅は輪島市の空き地の関係で、他の集落からも離れている場所に建てられており、それも交流があまりないことと関係しているかもしれません。改めて、住宅と人の生活が密接に関わっていることを感じました。

 また、今回は能登半島の道下集落で活動している金沢大学の足湯のサークルとも交流をもつことができました。もともと足湯隊が足湯を伝授した団体だったのですが、最近は関わりが持てておらず、12月初旬の全国足湯ボランティア交流会をきっかけに再びつながることができました。金沢市にて、お互いの活動の現状について話し、今後それぞれの活動に参加するのはどうか?という話もでました。数少ない足湯をする団体として今後も大切にしていきたいご縁です。

 最後に、今回地域の問題としてひしひしと感じたのは「若者がいない」ことです。足湯をした時、社協の方にお話を聞いた時、色々な人が「若者が出て行ってしまって、今後町や集落がどうなっていくのだろうか…」とおっしゃっていました。海も山も自然豊かで、食べ物はおいしく、祭りも盛んで、本当にいい土地だと思うのですが、仕事や刺激を求めるとやはり都会への流失はまぬがれないようでした。小さい集落特有の確執もあるようで、ソトモノ、ワカモノの私たちにできることはあるのでは?と考えました。

 今回の派遣は、どちらかというと能登半島との関わり終えることを見据えての派遣だったのですが、色々な可能性や問題点も見えてきました。色々な方から、こんなに年数が経っているのに能登に関わってくれていることが有りがたい、継続的に能登に来てくれるだけでいい、とも言われました。
 「最後のひとりまで」を考えながら、この能登派遣についてこれからミーティングを重ねてまとめていきたいと思います。

KOBE足湯隊は被災地に足湯を届け、人と人とをつなげる・つながる活動をしています。KOBE足湯隊の活動にご協力をよろしくお願いします。
〇郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
  *連絡欄に「足湯隊」と明記下さい
〇ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター
posted by 能登 at 14:36| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

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